雪の降る日は…
『雪が降ってた。』
いつもと違ったのは
それだけ。
他は変わらないのに。
幽閉されてた頃は音も無く、ただ降り積もる雪が、綺麗で、怖くて…
不思議な気持ちだった。
たちと出会って、初めての降雪日。
ジープで、町まであと少しとなって降り出した。
「ぁ、雪…。」
が小さく呟き、一行が空を見上げた。
フワフワと静かに音も無く、降る雪。
空は濃い灰色で、雪の白さが綺麗だった。
何で今頃思い出したんだ?きっと雪のせいだ。
「な〜に黄昏てンだよ、
バカ猿が!」
バシッと背中を叩かれ、
前のめりになった。
「…って〜な!この、万年発情期エロ河童!!」
「言ったな〜!?」
無音じゃない世界に
ホッとする。
もぅ独りじゃないのが解るから。
悟浄に締められながら
横を見ると、
とが笑ってた。
暖かい春みたいな笑顔で。
ジープから降りて、宿に入る前。
もう一度空を見上げた。
雪はさっきよりキツくて、灰色も濃くなってた。
「…悟空!!」
空から視線を外して、振り返るとが慌てた様に走ってきた。
ギュッと服の袖を縋るように掴んだ。
「どうか、したのか??」
ゆっくり指を外して、少しためらってから頷く。
「悟浄に何かされたのか?」
「違う!!そんなんじゃ…ないの。悟空が、消えちゃいそうで…。」
すごく怖かった。
小さな呟きは、きっと悟空にも届いただろう。
いつもの太陽の様な笑顔とは違い、
優しく、包むような笑顔で手を差し出した。
大丈夫、ここに居る、とでも言うように。
「行こう、♪ここに居たら風邪ひく。」
「うん。」
何を不安になっていたんだ?
何を怖がってたんだ?
もう独りじゃないのに…。
こんなにも近くにがいる。
笑ってくれるがいる。
恐がる事なんか何も無いのに…。
「〜!悟空〜!!早くしないと風邪引くわよ!」
「が宿の扉を少しだけ開けて、顔だけを外に出して呼んでいる。
何も何時もと変わらない。ただ雪が降っているだけの事。
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